b09d1aadc5dfd69999ecc90e97e44ab1_s南行徳・浦安駅徒歩圏内、市川・浦安・江戸川区で活動する税理士、島田竜一です。

今年も確定申告の時期がやってきました。
去年、個人事業を開始された方は、個人事業主としての確定申告は今回が初めてになりますね。

さて、今回の記事では青色申告と白色申告の違いについて解説していきます。

※掲載日時点の法令・情報等に基づき記載しておりますのでご留意下さい。

青色申告と白色申告の比較

青色申告と白色申告の大まかな比較は以下の表の通りです。

 青色申告(65万円控除)青色申告(10万円控除)白色申告
記帳方法複式簿記
(貸借対照表および損益計算書の作成)
単式簿記単式簿記
税務上の特典青色申告特別控除65万円
青色事業専従者給与
赤字の3年繰り越しなど
青色申告特別控除10万円
青色事業専従者給与
赤字の3年繰り越しなど
無し
届出青色申告承認申請書を提出青色申告承認申請書を提出不要

上記の表の通り、青色申告には青色申告特別控除について「65万円控除」と「10万円控除」の2パターンがありますので、申告の種類としては白色申告と合わせて3種類です。

ざっくり言いますと、手間がかかるけれど節税効果が高いのが「青色申告65万円控除」、節税効果は無いけれど手間がかからないのが「白色申告」、その中間が「青色申告10万円控除」というイメージです。

記帳方法について

単式簿記と複式簿記があり、青色申告65万円控除には複式簿記が求められます。

まず、単式簿記とは「家計簿」のようなもので、例えば3/1に携帯電話代を10,000円現金で支払った場合には、

3/1  通信費 10,000円

と帳簿に記載することになります。
「3/1に費用(通信費)が10,000円発生した」という事実を記録しています。
収入の場合にも考え方は同じです。

一方、複式簿記は上記の例ですと、

3/1  通信費 10,000円/現金 10,000円

と帳簿に記載します。
「3/1に費用(通信費)が10,000円発生し、それに伴って現金が10,000円減少した」という事実を記録しています。
赤字部分が単式簿記に追加されて記録されることになるのです。

単式簿記では収入と経費を記録していきますが、複式簿記ではそれに伴う資産(現預金・売掛金・固定資産など)と負債(買掛金・未払金・借入金など)も追加して記録することになり、単式簿記よりも複雑になります。

この複式簿記で記帳しなければならないという点が、青色申告65万円控除の最大のハードルになります。(複式簿記がきちんとできていれば、その結果(残高)として貸借対照表および損益計算書が作成されます。)

税務上の特典について

青色申告の主な特典は以下の通りです。

青色申告特別控除

所得から65万円もしくは10万円を控除できます。
所得税率20%で課税される方(課税所得330万〜695万の方)であれば、所得税率20.42%(復興特別所得税含む)にさらに住民税10%の合計30.42%が所得に対する税金になります。
この場合、所得から65万円控除できれば、65万円×30.42%=19万7,730円の節税になるわけです。
10万円控除の場合には、10万円×30.42%=3万420円です。
所得が高く、もっと高い税率が適用される方は節税額もさらに大きくなります。

青色事業専従者給与

青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。(ただし、配偶者控除や扶養控除の対象からは外れることになります。)

赤字の3年繰り越し

赤字が出た場合にその赤字を3年間繰り越して、将来的に出た黒字と相殺することができます。
例えば、開業初年度に400万円の赤字が出て、2年目100万円・3年目100万円・4年目200万円の黒字が出た場合、初年度の赤字を2年目以降の黒字と相殺していくことにより、2年目から4年目についても課税所得ゼロということにできるのです。
事業開始当初は設備等の投資がかさみ、利益が出ないことも多いため、大きな節税になるケースがあります。

少額減価償却資産の特例

10万円以上30万円未満の減価償却資産につき、全額を取得した年の必要経費に算入することができます。(ただし、1年間あたり300万円まで)
利益の出ている年に意識的にこのような減価償却資産を購入するようにすれば、節税につながります。

青色申告をするためには?

青色申告をするためには、青色申告承認申請書を所轄税務署長に提出します。
提出期限ですが、新規に開業した方が初年度から適用を受けたいのであれば、事業開始から2ヶ月以内に提出する必要があります。
その後は、適用を受けたい年の3月15日(土・日・祝日なら翌日)までに提出します。(つまり、平成27年分から適用を受けたいのであれば、平成27年3月16日(月)までに提出します。)

なお、青色申告65万円控除の適用を受けるためには、その適用を受ける年分の確定申告書を申告期限内に提出することも要件となっていることに注意が必要です。

まとめ

青色申告のメリットは主に節税効果であり、デメリットは記帳の事務負担です。

ただし、平成26年1月より白色申告者についても全て帳簿の記録・保存が義務づけられたため、記帳の事務負担について青色申告10万円控除と白色申告との差はほとんど無くなったといえます。
よって、少なくとも青色申告10万円控除を選択したいところです。

青色申告65万円控除は記帳のハードルが上がりますが、申告ソフト等を活用すればそこまで難しいものではありません。
しかし、ある程度の経理・税務の知識は勉強する必要がありますので、もし面倒であれば税理士に丸投げしてしまうのも一つの手です。
上述の節税効果と白色申告であってもある程度手間がかかる事を考えれば、自分で白色申告よりも税理士丸投げで青色申告65万円控除の方がかえって安上がりということもあります。

 

※本記事は、記載時点の法令等に基づいています。

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