9ed7bcb23741bfbfb0e414f0296fb8f9_s千葉県における法人県民税の概要について、県花である菜の花の画像とともにお送りします。
なお、一般的な株式会社を前提に記載しています。

※掲載日時点の法令・情報等に基づき記載しておりますのでご留意下さい。

なぜこの税金が課されるのか?(課税の趣旨)

この税金の課税趣旨は「千葉県で商売するということは、様々な千葉県の行政サービスを利用しているということ。それならばその経費を負担して下さい。」ということのようです。
「行政サービスなんて利用してない!」と頑張りたいところですが、水道・電気・交通等のインフラ、警察・消防等のサービス、環境や法の整備などなど、さすがに行政サービスと無関係で事業を行うことは不可能です。

どんな法人が課税されるのか?

以下の法人に対して課税されます。

  1. 千葉県内に事務所又は事業所を有する法人
  2. 千葉県内に事務所又は事業所はないが、寮、宿泊所、集会所、保養所などを有する法人

1.は均等割と法人税割が、2.は均等割のみが課されます。

「事務所又は事業所を有する法人」とありますので「ウチは事務所を借りてるだけで所有しているわけではないから課税されない?」と期待に胸が膨らみますが、残念ながらそういう事ではありません。
事業の必要から設けられた人的・物的施設の有無で判断するため、その建物を法人自身が所有しているか否かは関係なく、賃借事務所・事業所であっても「有する」ということになります。
2.に「寮、宿泊所」とありますが、これは従業者の宿泊などのために常時設けられている施設をいい、独身寮や社員住宅などの特定の従業員の居住のための施設は含まれません。

いくら課税されるのか?(節税のポイント)

法人の所得にかかわらず資本金等の額によって一律に課される均等割と、法人税額に一定の税率を乗じて課される法人税割があり、千葉県内に事務所又は事業所を有する法人はこの2つの合計額となります。

均等割
資本金等の額の区分税率
1,000万円以下年額2万円
1,000万円を超え1億円以下年額5万円
1億円を超え10億円以下年額13万円
10億円を超え50億円以下年額54万円
50億円超年額80万円

資本金等の額が増加するごとに段階的に課税額が上がっていきますので、節税の観点では単純に資本金等の額を低くしておくことがポイントとなります。
あくまで資本金等の額で判定するため、事務所等の数は関係ありません。
つまり、千葉県内に事務所等が2件以上あっても1件しかない場合と同額になります。

法人税割
区分税率
資本金の額が1億円超法人税額×5.8%
法人税割の課税標準となる法人税額(分割前)が年1,000万円超法人税額×5.8%
上記のいずれにも該当しない法人税額×5%

資本金の額が1億円を超えると(1億円ジャストは含まれません)高い税率が適用されます。
よって、節税のポイントは上記均等割と同様です。

なお、2以上の都道府県に事務所等を有している場合には、各都道府県の事務所等における従業者の数を基準として(分割基準といいます)課税標準の総額をあん分することになります。

結論として法人県民税の節税は、資本金等の額を各段階(1,000万、1億、10億、50億)のうち可能な限り低い段階以内に抑えておくということになります。

申告と納税はどうするか?

1.中間申告

事業年度が6ヶ月を超え、法人税の中間申告額が10万円を超える法人は、中間申告をしなければなりません。
基本的に法人税の中間申告義務があれば県民税についても中間申告を行うことになります。

申告方法は、予定申告仮決算に基づく中間申告の2つがあり任意に選択できます。
予定申告は、基本的に前期法人税割の半分と均等割の半分を申告納付します。
一方、仮決算に基づく中間申告は読んで字のごとく半期で仮決算を組んで、その数字に基づいて申告納付します。
事務負担として、予定申告は簡便ですが仮決算は非常に煩雑です。
それでもあえて仮決算を行うケースは、前期に比べて当期の利益が大幅に減少したようなときです。この場合、前期ベースで計算する予定申告では多額の中間申告税額が発生するため資金繰りを悪化させてしまうからです。
ただし、最終的に確定申告で中間申告分は精算されるため、通期で考えればいずれの方法でも税額は変わりません。
つまり、前期に比べて当期の利益が大幅に減少し資金繰りが厳しい場合に仮決算に基づく中間申告を検討しますが、それ以外では通常は予定申告を選択することになります。

申告と納税の期限は、事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内です。
例えば3月決算法人(事業年度4月1日〜3月31日)では、11月末が期限となります。

2.確定申告

法人税割と均等割の合計額から中間申告納付分を控除して、申告・納付を行います。

申告と納税の期限は、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。
例えば3月決算法人(事業年度4月1日〜3月31日)では、5月末が期限となります。
なお、会計監査人の監査を受けなければならない等の理由により決算が確定しないなど一定の場合には、申請を行うことにより申告期限を1ヶ月延長することができます。(あくまで「申告期限」の延長であり、「納税期限」は延長されないため1ヶ月遅れて納税した場合には延滞金がかかります。