9ed7bcb23741bfbfb0e414f0296fb8f9_s千葉県における法人事業税・地方法人特別税の概要について、県花である菜の花の画像とともにお送りします。
なお、一般的な株式会社を前提に記載しています。

前回は資本金の額1億円以下の法人についてでしたが、今回は資本金の額が1億円を超える法人についてです。
このような法人の事業税については、外形標準課税が適用されることになります。

※掲載日時点の法令・情報等に基づき記載しておりますのでご留意下さい。

外形標準課税の考え方

法人事業税は法人がその活動を行うにあたって地方自治体から各種の行政サービスの提供を受けていることから、これに必要な経費を法人も負担すべきであるという考え方に基づく税であり、法人の事業そのものに課される税です。
そのため、課税標準は法人の事業活動の規模をできるだけ適切に表すものであることが望ましいことになります。
そこで資本金の額が1億円を超える規模の法人に対しては、課税標準の構成要素を所得のみとせず、支払給与・支払利子・支払家賃や資本金等をベースとした要素(付加価値割・資本割(後述))も織り込むこととしています。
注意したいポイントは、外形標準課税は課税標準の構成要素のうち所得割部分を下げて、そのかわりに法人の規模等の外形的要素が織り込まれているということです。
つまり外形標準課税が適用されない法人の所得割に、上乗せで付加価値割・資本割が課されるわけではなく、外形標準課税が適用されることがイコール税務上で不利になるということではありません。(状況により有利・不利があります。)

どんな法人が対象となるのか?

資本金の額が1億円を超える法人です。
「超える」ですので、1億円ジャストの法人は含まれません。

いくら課税されるのか?(節税のポイント)

付加価値割資本割所得割で計算されます。
このうち最初の2つ、付加価値割と資本割が外形的な要素です。

  1. 付加価値割
    付加価値額(※)×0.48%が税額となります。
    ※付加価値額=収益配分額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)±単年度収益
    (ただし報酬給与額のうち収益配分額の7割を超える部分については、課税標準から控除します。)
    法人の事業活動の規模に対する課税部分です。
    当然、付加価値額を構成する要素である報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料および単年度収益が低く抑えるほど節税になります。
  2. 資本割
    基本的に各事業年度終了の日における資本金等の額×0.2%が税額となります。
    法人の資本規模に対する課税部分です。
    資本金等の額が課税標準となっているため、資本金等の額を低く抑えるほど節税になります。
  3. 所得割
    基本的に各事業年度の所得に税率を乗じたものが税額となります。
    平成20年10月1日以後の税率表は以下の通りです。
    区分税率
    所得のうち年400万円以下の金額1.5%
    所得のうち年400万円を超え800万円以下の金額2.2%
    所得のうち年800万円を超える金額2.9%
    3以上の都道府県に事務所等を有する法人の所得2.9%

    付加価値割および資本割に配分している部分があるため、外形標準課税が適用されない法人に係る所得割の税率より低くなっています。
    当たり前ですが、所得を低く抑えるほど節税になります。
    なお、3以上の都道府県に事務所等を有する場合には軽減税率を適用することができなくなってしまいます。

これに地方法人特別税が「所得割額×148%」で計算され別途課税されます。
外形標準課税が適用されない法人の81%より税率が高いですが、外形標準課税適用法人の税負担を重くしているわけではありません。
課税標準である所得割が外形標準課税適用法人は上述の通り低い税率で計算されているため、その調整を図っているのです。

外形標準課税適用の有利不利(メリット・デメリット)

上記「外形標準課税の考え方」でも記載の通り、外形標準課税の適用は必ずしも税務上不利になるとは限りません。
不適用の場合は全て所得割で計算されるものが、適用されると付加価値割や資本割という要素にも課税要素が配分されます。
つまり、所得が大きくて付加価値額や資本金等の額が低い法人(外形的な事業・資本規模が小さく、利益が出ている法人)では外形標準課税を適用した方が税額が安くなるケースがあるのです。
一方、赤字法人(所得がマイナス)の場合には、所得に関係なく税額が生じる部分があるため外形標準課税は不利になります。

外形標準課税の適用不適用は資本金が1億円を超えるか否かで決まります。
資本金等はある程度法人がコントロールする事ができますが、注意しなければならないのは、資本金等1億円のラインは法人税・法人住民税などの他の税金にも大きな影響があるということです。
資本金等については、全ての税金への影響を網羅したシミュレーションをした上で検討することが必要です。

申告と納税はどうするか?

これは、前回記事の資本金の額が1億円以下の法人と変わりませんので割愛します。