6ec5cef1e162724c9a4cedc3767e4230_s南行徳・浦安・葛西など市川市近郊を中心に活動している税理士、島田竜一です。

今回は、法定調書と給与支払報告書について概要を解説したいと思います。

※掲載日時点の法令・情報等に基づき記載しておりますのでご留意下さい。

法定調書とは?

法定調書とは、源泉徴収票や支払調書などを総称したものです。

給与や報酬などの支払者に1年分に支払った内容を報告してもらうことにより、支払を受けた側の所得を把握するというのが一番の目的です。
他の申告等は、あくまでも提出者に係る内容を把握するためのものがほとんどですが、この法定調書はそういう意味で目的が特殊と言えます。

法定調書にはどんなものがある?

法定調書の主なものは以下の通りです。

給与所得の源泉徴収票

その年中に給与等を支払った場合に提出する必要があるおなじみの書類です。
年末調整をした場合、法人の役員であれば年間150万円超、それ以外であれば年間500万円超(弁護士等除く)の場合に提出しなければなりません。
また、年末調整をしなかった乙欄・丙欄適用者については年間50万円超のものについて提出が必要です。

退職所得の源泉徴収票

その年中に法人の役員に対して退職手当等を支払った場合に提出する必要があります。
源泉徴収票のように金額による線引きは無く、全て提出することになります。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

その年中に報酬、料金、契約金及び賞金等を支払った場合に提出する必要があります。
報酬等の内容については、様々な種類があり特殊なものも含んでいます。
業種によりますが、一般的には税理士・弁護士等の報酬が発生してくることが多いかと思います。
その他では、原稿料・講演料あたりでしょうか。
税理士・弁護士等の報酬や、原稿料・講演料ですと、同一人に対して年間5万円を超える支払分について提出することになります。

不動産の使用料等の支払調書

その年中に不動産等の借受けの対価や不動産の上に存する権利の設定の対価を支払った法人、もしくは不動産業者である個人が提出する必要があります。
家賃や地代だけでなく、礼金や更新料も含みます。
法人に支払う不動産の使用料等については権利金、更新料等のみを提出します。
また、金額での線引きもあり、同一の方に対する支払金額の合計が年間15万円を超えるものが提出範囲となります。

不動産等の譲受けの対価の支払調書

その年中に譲り受けた不動産や不動産の上に存する権利等の対価を支払った法人、もしくは不動産業者である個人が提出する必要があります。
同一の方に対する支払金額の合計が年間100万円を超えるものが提出範囲となります。

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

その年中に不動産や不動産の上に存する権利等の売買又は貸付けのあっせん手数料を支払った法人、もしくは不動産業者である個人が提出する必要があります。
同一の方に対する支払金額の合計が年間15万円を超えるものが提出範囲となります。

法定調書合計表

上記の法定調書の概要を1枚にまとめたものが法定調書合計表です。
それぞれの支払調書の内容について、合計で記載していきます。
金額の線引き等により支払調書の提出は必要無いものについても、法定調書合計表上の金額には含めることになりますので注意が必要です。
そのため、各法定調書の欄は「総額」と「うち、支払調書を提出するもの」に分かれています。

いつどこに提出するの?

毎年1月31日までに所轄の税務署に提出します。
1月31日が土・日であった場合には、翌月曜日が提出期限になります。

給与支払報告書とは?

法定調書とセットで手続きするものとして給与支払報告書(源泉徴収票とほぼ同じ形式)とそれを市区町村毎にまとめた総括表があります。
給与所得者にとって「市・県民税の申告」に代わるものであり、翌年度の市・県民税の計算のもととなります。

これらは給与を受けた方の1月1日時点の住所地である各市区町村にそれぞれ提出することになります。
様々な市区町村に住む従業員・職員を雇用している事業者は、それだけ提出先が多くなり手続きが煩雑になります。

提出期限は、法定調書と同じです。

 

※本記事は、記載時点の法令等に基づいています。