市川市・船橋市・松戸市エリアの税理士、島田竜一です。
タイトルの通り、千葉県は平成28年度から個人住民税の給与天引き(特別徴収)を徹底します。
今回はこの件について、解説したいと思います。
特別徴収とは
所得税の源泉徴収と同じように、事業主(給与支払者)が毎月従業員等(納税義務者)に支払う給与から個人住民税を天引きし、従業員等に代わり市町村に納入する制度です。
原則として、アルバイト、パート、役員等を含む全ての従業員から特別徴収する必要があります。
今までは特別徴収しなくてよかったの?
今までも法令上は特別徴収をする必要がありました。(地方税法第321条の4)
しかし実態としては、事業者の手間の問題や従業員等からの希望などで、普通徴収(従業員等が自分で納める方法)としている事例が多くありました。
これを千葉県はある程度黙認してきましたが、今後は法令通り特別徴収を行う事を徹底するということになります。
その理由として「法令遵守、公平性の担保、納税者の利便性の向上、滞納発生の抑制」が挙げられていますが、一番後ろに記載されている「滞納発生の抑制」が最大の理由だと思います。
この動きは千葉県だけでなく全国的に行われており、例えば埼玉県では千葉県より1年早い平成27年度から徹底することとしています。
事務手続きはどのように行うの?
毎年5月に特別徴収義務者(給与支払者)あてに市町村から「特別徴収税額決定通知書」が送られて来ますので、その税額を毎月の給料から天引きし、翌月の10日までに合計額を各従業員の住所地の市町村へ納入します。
※納期の特例
従業員が常時10名未満の場合は、市町村長の承認を受けることで、年12回の納期を12月と6月の2回とすることができます。
普通徴収が認められる場合
次に該当する場合には、普通徴収切替理由書を1月31日までに給与報告書と併せて市町村に提出することによって、例外として、普通徴収が認められる場合があります。
<従業員等:給与所得者>
- 4月1日現在で給与の支払を受けていない者。
- 退職者又は給与支払報告書を提出した年の、5月31日までの退職予定者。
- 毎月の給与が少なく、個人住民税を特別徴収しきれない者。(個人住民税が非課税である者を含む)
- 給与が毎月支払われていない者。
- 他から支給されている給与から、個人住民税が特別徴収されている者。
- 専従者給与を支給されている者。
<事業主:給与支払者>
- 常時2人以下の家事使用人のみに対して、給与等の支払をする者。
- 総受給者数2名以下の事業所(総受給者:他市町村を含む全従業員等のうち、上記の給与所得者の要件に該当する者を除く人数。)
アルバイトやパートも特別徴収しなくてはいけないの?
前年中に給与の支払いを受けており、かつ、当年度の4月1日において給与の支払を受けている者は特別徴収の対象となります。
従って、アルバイトやパートであってもこの要件に当てはまる場合には、特別徴収の対象となります。
従業員から普通徴収にして欲しいと希望があったんだけど・・・
上記の普通徴収が認められる場合に該当しない限り、徴収方法を選択できるものではないため、従業員から希望があっても普通徴収とすることはできません。
特別徴収は、会社の事務負担が確実に増えることとなりますので、早めの準備が大切です。