南行徳・浦安・葛西など市川市近郊を中心に活動している税理士、島田竜一です。
今回は会社設立関連の記事第2弾として、「設立できる会社の種類」について解説します。
起業を決意し、会社をつくるぞ!となったら、まずどの種類の会社で設立するかを検討します。
会社は株式会社だけではありません。
※掲載日時点の法令・情報等に基づき記載しておりますのでご留意下さい。
会社の種類は4つ
設立できる会社の種類は以下の4つです。
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
このうち、下の2つ合資会社と合名会社は基本的に出資者が無限責任を負ってしまうこと等から、現在ではほとんど設立されていませんし、通常おすすめもしません。
そのため、一般的には株式会社か合同会社のいずれかということになるかと思います。
株式会社・合同会社は有限責任
株式会社と合同会社の出資者は、いずれも有限責任となります。
有限責任とは出資者は、出資額の範囲のみで責任を負うというものです。
例えば会社を清算した時に、会社が債務超過(資産総額を負債総額が上回っている状態)であっても、有限責任であれば出資者は自分が出資した金額を諦めるだけで済みます。(ただし、会社の債務について出資者が連帯保証をしている場合を除きます。)
これが無限責任ですと、出資金で足らない部分についても会社の債権者に対して弁済義務を負うことになります。
合同会社のメリット
株式会社と比べた場合の、合同会社の主なメリットは以下の通りです。
設立費用が安い
公証人の定款認証が不要で、登録免許税も株式会社より安いため、株式会社に比べて設立費用合計で約15万前後安くなります。(電子定款で行えば、登録免許税6万円で設立が可能です。)
会社設立当初として少しでもコストを抑えるのは大事なことですので、この点が合同会社のメリットであることは間違いありません。
ただし、これ以外にも株式会社と合同会社は様々な違いがありますので、総合的に検討した上で慎重に判断する必要があります。
ランニングコストも安い
合同会社は決算公告義務が無いため、まずそのコストがかかりません。
また、役員の任期もありませんので役員重任登記等のコストも発生しないことになります。
利益配分の自由度が高い
利益の配分(配当)について、出資割合に関係なく社員の合意により自由に行うことができます。
株式会社では基本的に株式の持分に応じて配分されることになります。
株式会社のメリット
合同会社と比べた場合の、株式会社の主なメリットは以下の通りです。
知名度が高い
実際、このメリットが一番大きいと思います。
営業活動の場面でも、人材雇用の場面でも「株式会社」の看板は強いです。
最低資本金が撤廃された現在では、実質的には必ずしもそこまでの信用が担保された組織形態とは言えないと思うのですが、昔から築き上げられてきたイメージは変わっていません。
会社名の信用度がビジネス上で重要なのであれば、合同会社に比べて設立・ランニングに多少費用がかかったとしても、それは必要な投資であるように思います。
株式発行による資金調達
事業規模の拡大等により資金調達の必要が生じた際、株式発行による資金調達という手段が使えます。
合同会社が原則として「出資者=経営者」であるのに対し、株式会社では所有と経営が分離しているため、配当等を目的として一般の方に出資してもらう等がやりやすくなります。
(合同会社でも定款の定め方により、これに近い形態とすることはできます。)
まとめ
株式会社・合同会社、一概にどちらが優れているとは言えません。
やはりケースバイケースということになります。
ポイントとしては、まずは「会社名のイメージ」が事業においてどの程度重要か。
B to Bのビジネス(企業相手のビジネス)であれば、名刺を出した時の会社名のイメージ(信用度)は重要になると思います。
その場合、合同会社はまだまだ認知度が低いため株式会社の方が有利でしょう。
また、出資者以外からも役員を選任したい場合や、反対に出資者はたくさんいるけれど役員は絞りたい場合なども、基本的には株式会社です。
一方、事業上、商品やサービスが前面に出るため会社名のイメージはそれほど重要でない場合、1人社長でスモールビジネスをスタートさせる場合等は合同会社という選択も有効だと考えます。
※本記事は、記載時点の法令等に基づいています。
関連記事