南行徳・浦安駅徒歩圏内、市川市・浦安市・江戸川区で活動する税理士、島田竜一です。
今回は、会社設立シリーズ第6弾として「源泉徴収の基本」について解説していきたいと思います。
※掲載日時点の法令・情報等に基づき記載しておりますのでご留意下さい。
源泉徴収って何?
源泉徴収とは、給与や報酬などの支払者が、その支払金額から事前に所得税等を差し引いて支払う制度です。基本的には、個人に対する支払いが対象となります。
会社を設立したら源泉徴収をしなければならないの?
給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりした場合には、源泉徴収をする必要があります。
例えば人を雇っておらず社長一人だけの会社の場合でも、社長に対して給与を支払えば別人格である会社はそこから源泉徴収をしなければなりません。
給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設したら(給与等を支払うこととなったら)、1か月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を所轄税務署に提出します。
どうやって源泉徴収すればよいの?
給与等や報酬から源泉徴収税額を天引きします。
①給与等
まず給与等の源泉徴収税額は各年分の源泉徴収税額表で計算します。
(平成27年分の源泉徴収税額表はこちら)
主たる給与(「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出があった人に支払う給与)の場合には表の甲欄に基づき、主たる給与でなければ基本的に乙欄に基づいて源泉徴収税額を計算します。
甲欄に対して乙欄は源泉徴収税額がかなり高くなります。
その他、賞与や退職金を支払った場合も源泉徴収をする必要があり、これも源泉徴収税額表に基づいて計算します。
②報酬
報酬を支払った場合にも源泉徴収義務が生じます。
以下のような報酬の支払いが対象となります。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
かなり特殊なものがほとんどですが、2番目の「弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金」には税理士(税理士法人を除く)の報酬も該当します。
源泉徴収税額は基本的に以下の通り。
支払金額が100万円以下の場合・・・支払金額×10.21%
支払金額が100万円を超える場合・・・(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円
ただし報酬に関しては、支払先が計算して請求書等を発行するのが一般的でしょうから、支払う会社側で計算することはあまり無いと思います。(個人に原稿や講演をお願いした場合くらいでしょうか。)
源泉した所得税等はいつ納めるの?
原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。
しかし、給与の支給人員が常時9人以下の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税等を、半年分まとめて納めることができる特例があります。
これを納期の特例といいます。
この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税に限られています。
この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限になります。
この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することが必要です。
毎月源泉を納付するというのはけっこうな手間になりますので、給与支給人員が9人以下なのであれば必ずこの特例の適用を受けておくことをオススメします。
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