税理士の選び方シリーズ3回目は、料金比較についてです。
インターネットで税理士を探すと、たくさんのHPがヒットします。
その中には料金表を掲載しているところも多くなってきています。(当事務所も掲載しています→報酬・料金)
これを基に、前回記事の通り自分に適用される年間総額を把握すれば、各事務所の料金(顧問料・決算料・その他報酬等)を比較することができます。
同じものを買う場合、もちろん料金は1円でも安いに越したことはありません。
私も大好きなデジタル製品を買うときはインターネットで調べたり、ビックカメラ・ヨドバシカメラ・ヤマダ電機などに行ってさんざん価格を比較します。
しかし税理士の場合、そのように料金の比較だけで選ぶと失敗します。
それは各税理士事務所のサービスは、同じものではないからです。
物品販売と違いサービス業はなかなか「同じもの」が無く、ただ単純に料金比較するだけで選べないのは他のサービス業でも同様だと思います。
ですが、税理士というサービス業は以下の2つの特徴があるため、特に単純な料金比較が無意味なものとなります。
- サービスの質のうち、見えない部分がある
- サービスの質が悪いと、お客様が金銭的な損害をこうむる恐れがある
まず1点目の「サービスの質のうち、見えない部分がある」については、例えば法人税申告書であれば「可能な限りの節税をした上で適切に作成されたものかどうか」ということです。
どんな税理士事務所でも当然、申告書は完成しますから「申告書作成」というサービスは同じように見えます。
しかし、その申告書の質はどうでしょうか?
これは1つ1つの仕訳や税務調整、特例の適用等の積み上げなので、その質は一見してはわかりません。
そして2点目の「サービスの質が悪いと、お客様が金銭的な損害をこうむる恐れがある」は、税理士独特の特徴です。
上記の法人税申告書の例で、もし可能な限りの節税をしなければ(落とせる費用を落とさない、使える特例を適用しない等)、お客様の税金が高くなって金銭的な損害をこうむり、その上、適切な申告をした場合と比べることができないのでお客様はその損害をこうむったことにも気が付きません。
逆に税法に違反して節税し過ぎた場合(これは節税ではなく脱税)にも、後の税務調査で課税された上に延滞税や加算税も上乗せされ、お客様が損をします。
サービスの質の見えない部分でお客様が金銭的な損害を受けることによって、結局は料金の差が簡単に吹き飛んでしまうのです。
税理士事務所では人件費の割合が最も高く、基本的にはここを調整することで料金をコントロールします。
料金の非常に安い事務所では人件費を安く抑えるために、
- 単価の安い人材に担当させる
- 1つの業務当たりにかける時間を減らす
のいずれかを行うということになります。
おわかりいただけると思いますが、料金を安くした分、サービスの質は犠牲になります。(IT活用による業務効率化などでサービスの質を落とさずに一定のコストダウンを図ることは可能です。)
サービスの質が犠牲になれば、お客様は払わなくていい税金を払うハメになり、税理士の顧問料を安く抑えたつもりがそれ以上にお金が出ていくことになってしまいます。
「料金比較だけで1円でも安いところを探す」のではなく、「誰が担当するのか」と「どのようにサービスを提供してくれるのか」を実際に税理士に会って確認し、自分を担当することになる「人」をしっかり見極める事が重要です。